カテゴリー「日本語いとをかし」の7件の記事

2020年4月11日 (土)

鍵マーク?

やっと当ブログも HTTPS に対応して、アドレスバーに鍵マークが表示されるようになりました・・・ちょっと待ってください。アドレスバーに有るマークは錠前(lock)であって、鍵(key)ではありません。「鍵」は誤用です。「錠マーク」と呼ぶべきではないでしょうか。

アドレスバーの鍵マーク

このマークを英語では「lock icon」と呼ぶようです。直訳すれば「錠アイコン」。英語では正しく「錠」と言っています。ちなみに、日本語にとってはアイコンもマークも同じようなものですが、「鍵アイコン」で検索すると、鍵や錠前の一般的なアイコン画像に関するものばかりがヒットします。一方「鍵マーク」で検索すると、同様の画像もヒットしますが、 HTTPS の鍵マークに関する記事も多くヒットします。 HTTPS のアレは、日本では「マーク」が主流のようです。

ところで、「ロック解除」とは言いますが、「キー解除」とは言いません。この場合は正しく「ロック(錠前)」が使われています。英語(外来語)だと正しく使うのに、日本語だと錠前のことを鍵と言うことがよく有るのは不思議です。

余談ながら、鍵を開ける(本当は錠前を開ける)という意味の「かいじょう」には「解錠」、「開錠」の2種類が有り、それぞれ意味が異なるようです。解錠は「壊さないように鍵を開けること」、開錠は「手段を選ばず鍵を開けること」だそうです。

余談2ながら、私の語感では「解錠」、「開錠」は逆のような感じがします。つまり、「解錠」が壊してでも開けて、「開錠」が正当な方法で開けるというものです。暗号界隈では、鍵を使わず無理矢理に平文に戻すことを「解読」と言い、正当な方法で平文に戻すことを「復号」と言います。それで、私は錠前を「解」することに不正なニュアンスを抱いていました。統一感が無くて混乱しそうです。

2020年4月 8日 (水)

宇宙=時空

時空とは時間と空間が混然一体となったもので、この言葉は(たぶん) 20 世紀になってから出来たものです。一方、宇宙という言葉は Wikipedia の 宇宙 によると漢の時代には有ったようです。

宇宙という言葉(文字)の「宇」は空間を意味し、「宙」は時間を意味するようです。この2つの文字を足して「宇宙」という言葉になっています。宇宙は空間のみを意味すると思っている人が多いのではないでしょうか。しかし、宇宙という言葉の成り立ちからすると、空間と時間を合わせたものが宇宙なのです。

奇しくも、 2000 年の隔たりをもって作られた言葉「時空」と「宇宙」は同じ意味を持っていたのです。

時空は英語で spacetime と言います。 spacetime を直訳するのならば「空時」です。なぜ、「時空」になったのでしょうか? 不思議です。

ところで、空(そら)の意味で「宙」という文字を使っているのを見かけることが有りますが、上記の通り「宙」は時間を意味するので、これは誤用です。使うなら「宇」の方です。しかし、「空(そら)」の意味で「宇」を使われても、ピンと来ませんけど。

2020年2月11日 (火)

\(f(x)\) のとりうる値の範囲

次の動画で疑問に思った事柄が有ります。

YouTube:最大値と最小値,とりうる値

この動画の中で疑問なのは、次の文言です。

\[ f(x) のとりうる値の範囲は\ 1\leq f(x)\leq 2 \tag{1} \]

これを動画では

\[ f\ は区間 [1,2] への全射を意味する \tag{2} \]

のようなことを言っています。普通の日本語の感覚では、「とりうる」は区間 \([1,2]\) 全部に対応する必要は無く、

\[ f(x)\not\lt 1\ 且つ\ f(x)\not\gt 2 \tag{3} \]

と同じ意味だと思うのですが、動画では「それは違う」とのことです。

(1) を少し変えて、 (4) のように言うと \(f\) は全射になるような気もしないでも無いような、有るような・・・。

\[ f(x) は\ 1\leq f(x)\leq 2\ の範囲をとりうる \tag{4} \]

とにかく、(2) の意味を表したいのなら、

\[ f(x) のとる値の範囲は\ 1\leq f(x)\leq 2 \tag{5} \]

と言えば良いでしょう(すなわち、「とりうる」ではなく「とる」で良い)。なぜ、わざわざ「うる」を付けるのでしょうか?

ここで私の想像なのですが、外国語、例えば英語で 「can」 とか 「be able to」とかが使われていて、それをそのまま日本語に訳して「とりうる」となったという可能性も有りそうです。もしかしたら、 「can」あるいは 「be able to」 だと (2) の意味になるのかも知れません。そこで、 「can」 と 「be able to」 を少し調べてみたのですが、判りませんでした。参考までに、下記リンクを載せておきます。

2019年4月29日 (月)

いろはにほへと

休みの日なのにいい歳をして早く起き・・・いや、いい歳だから早起きは苦でもなく、早朝にテレビを見ていたら、「にほんごであそぼ」で「いろは歌」が紹介されていました。その終わりの箇所が次のようになっていました。

浅き夢見じ

「し」ではなく「じ」なのです。「し」と「じ」では意味が逆になります:夢を見ない? 確認のため検索したら Wikipedia に「いろは歌」の項目が有りました(いろは歌)。それによると、「夢見し」「夢見じ」2つの解釈が有るようです。余談ながら、「あさきゆめみし」というマンガが有りますが、それはどちらの意味なのでしょうか。

折角なので、 Wikipedia に載っているいろは歌を転載しておきます。

色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず

Wikipedia には、いろは歌に関する様々な情報が記されており、意外に奥が深いことに驚かされます。解釈が複数有ること以外にも、作者、製作理由、いろは歌以外のいろは歌(国音の歌)などが紹介されています。ただし、ほとんど「諸説あり」のようですが。

2019年3月31日 (日)

「力学」の不思議

「力学」という日本語には様々な英語が対応しています。

  • mechanics (力学)
  • dynamics (動力学)
  • statics (静力学)
  • kinematics (運動学)

たぶん、 mechanics は他の3つを包括していると思います。ただし、ここの mechanics (力学)は「古典力学」という意味とは違います。

不思議なのは次の2つです。

  • Quantaum Mechanics (量子力学)
  • Quantum ElectroDynamics (量子電気力学)

量子力学は mechanics で、量子電気力学(QED)は dynamics となっています。何故なのでしょうか? mechanics には仕組み・機構という意味が有ります。では、量子力学は量子の世界の仕組み・機構を記述したものであり、 QED は、量子力学の具体例になっているということなのでしょうか? なんか違うような気がするような、しないような・・・。

2018年12月15日 (土)

宇田川榕菴の作った化学用語

「日本人のおなまえ」で、江戸時代の化学者、宇田川榕菴(1798~1846)のことが紹介されていました。現在使われている化学用語で下図に示したものは宇田川榕菴が作ったものとのことです。現在、当たり前に使っているこれらの言葉が、江戸時代の一人の化学者をルーツとしていることに少々感動したので、忘れないよう、ここに記録しておきます。

テレビ画面のキャプチャー

2018年8月25日 (土)

私はペンが長い

「日本語いとをかし」というカテゴリーを作ってみました。日本語の特異性や意味不明な表現を取り上げて行くつもりです。すぐにネタ切れになりそうですが、とにかく、やってみましょう。

最近の翻訳ソフトは優秀で、 MathJax の説明書を読む時など、 Google の翻訳ソフトにずいぶん助けられています。そのソフトで次の文を翻訳するとどうなるでしょうか。

  私はペンが長い。    /* (1) */

日本語として意味不明なこの文が、まともに翻訳出来るのでしょうか? 結果は次のようになりました。

  I have a long pen.    /* (2) */

さらに、「私」→「象」、「ペン」→「鼻」として、

  象は鼻が長い。    /* (3) */

を 翻訳させてみましょう。この文は日本語の特異性を述べる時によく出される例で、日本語としては自然な表現です。

  Elephant has a long nose.    /* (4) */

(注意): Google の翻訳では象の「鼻」が「 nose 」となっていますが、正しくは「 trunk 」と言うようです。

どうも、 Google はバカなのか利口なのか、元の文が日本語として意味が通じるかどうかにかかわらず、 (1) も (3) も同じように訳しています。では、今得られた英語 (2) と (4) を日本語に翻訳し直してみましょう。

  私は長いペンを持っています。  /* (5) */

  象は長い鼻を持っています。    /* (6) */

元の日本語には戻りません。ただし、 意味不明だった (1) が (5) になって、日本語として意味が通じるようになりました。 (6) は意味は通じるのですが、こなれた日本語とは言えません。これならば、「象の鼻は長い」の方が自然です。少し脱線しますが、これを訳すと、

  The elephant's nose is long.    /* (7) */

となりました。本筋から外れますが、 (7) には定冠詞「the」が付いているのに、 (4) には無いのが面白いです。

さて、

  私はペンが長い。    /* (1) */

  象は鼻が長い。      /* (3) */

(1) も (3) も

  A は B が C

の型をしています。しかし (3) は意味が通じて、 (1) は通じないのは、両者の間にどんな違いが有るからなのでしょうか? 意味の通じる (3) の方は B が A の一部分であることが分かります。その場合は日本語として意味が通じ、そうでない場合は意味が通じないのでしょう。それでは、 B が A の一部分になるように (1) を次のように変えてみましょう。

  私はぺニ○が長い。

この時、英語は

  I have a long peniX.    /* X は伏字 */

となります。満足。

どうも、「象は鼻が長い」というのは日本語特有の表現で、英語には存在しないようです(たぶん)。この表現が出来るのは、もしかして、日本語だけなのでしょうか。