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2018年2月17日 (土)

ドレスト光子の本買いました

ドレスト光子についての本「ドレスト光子」 (ISBN978-4-254-21040-8) を買いました。「ドレスト光子」で検索すると、種々の書籍通販サイトの当該書籍ページが幾つもヒットします。極め付けは当該書籍の閲覧ページです。
「ドレスト光子」の閲覧
ただし、ここで見れるのは第2章のみです。これを見て、面白そうだったので購入しました(印刷の普通の本)。

2章、4章そして付録Aがドレスト光子の質量獲得を理解するための参考になりそうなので、そこを重点的に読んでいます。計算は丁寧に説明されています。丁寧過ぎて、木を見て森を見ずという感は有ります--読む側の能力の問題なのですが。この本を読む目的は、ドレスト光子の質量獲得の理解ですが、そこに到達するには暫く掛かりそうです。取り敢えず、気付いたことを書いてみます。

ドレスト光子の意味

「ドレスト光子」は dressed phton 即ち、ドレスを纏った光子のことです。では、ドレスを纏った光子とはどういう意味でしょうか。それは、以下のようになっています。

ナノ寸法領域での光と電子・正孔のハミルトニアンは式 (1) になります。

\[\begin{align} \hat{H} = &\sum_{\boldsymbol{k}\lambda}\hbar\omega_{\boldsymbol{k}}\hat{a}^\dagger_{\boldsymbol{k}\lambda}\hat{a}_{\boldsymbol{k}\lambda}\\ &+ \sum_{\alpha\gt F,\beta\lt F}(E_\alpha - E_\beta)\hat{b}^\dagger_{\alpha\beta}\hat{b}_{\alpha\beta} + \hat{H}_\mathrm{int} \tag{1} \end{align}\]

ここに \(\hat{a}^\dagger_{\boldsymbol{k}\lambda}\) (\(\hat{a}_{\boldsymbol{k}\lambda}\)) は光子の生成(消滅)演算子、 \(\hat{b}^\dagger_{\alpha\beta}\) (\(\hat{b}_{\alpha\beta}\)) は電子・正孔対の生成(消滅)演算子です。 \(\alpha, \beta\) は電子・正孔対のエネルギー準位、 \(F\) はフェルミ準位です。 \(\hat{H}_\mathrm{int}\) は光子と電子・正孔対の相互作用です。さまざまな状態の光子や電子・正孔対について和を取っていることが、ナノ寸法領域の特徴(だそう)です。

式 (1) をあれこれ変形して行くと、式 (2) のハミルトニアンが得られます。

\[\begin{align} \tilde{H} &= \hat{U}^{-1}\hat{H}\hat{U}\\ &= \sum_{\boldsymbol{k}\lambda}\sum_{\alpha\gt F,\beta\lt F}\left[ \hbar\omega'_\boldsymbol{k}\tilde{a}^\dagger_{\boldsymbol{k}\lambda}\tilde{a}_{\boldsymbol{k}\lambda} + (E'_\alpha - E'_\beta)\tilde{b}^\dagger_{\alpha\beta}\tilde{b}_{\alpha\beta} \right] \tag{2} \end{align}\]

式 (2) では、見かけ上相互作用が無くなっています。 \(a\) や \(b\) の上に付いているのが \(\hat{}\) から \(\tilde{}\) に変わっているに注意して下さい。その \(\tilde{a}\), \(\tilde{b}\) は式 (3), (4) になっています。

\[\begin{align} \tilde{a}_{\boldsymbol{k}\lambda} &= \hat{a}_{\boldsymbol{k}\lambda} - iN_\boldsymbol{k}\sum_{\alpha\gt F,\beta\lt F}\left( \rho^*_{\alpha\beta\lambda}(\boldsymbol{k})\hat{b}_{\alpha\beta} + \rho^*_{\beta\alpha\lambda}(\boldsymbol{k})\hat{b}^\dagger_{\alpha\beta} \right) \tag{3}\\ \tilde{b}_{\alpha\beta} &= \hat{b}_{\alpha\beta} - i\sum_{\boldsymbol{k}\lambda}\left( \rho_{\alpha\beta\lambda}(\boldsymbol{k})\hat{a}_{\boldsymbol{k}\lambda} + \rho^*_{\beta\alpha\lambda}(\boldsymbol{k})\hat{a}^\dagger_{\boldsymbol{k}\lambda} \tag{4} \right) \end{align}\]

式 (3) は右辺第1項の光子が第2項の電子・正孔対の衣を纏っていることを表しています。そして、 \(\boldsymbol{k}\), \(\lambda\) について和を取った \(\sum_{\boldsymbol{k}\lambda}\tilde{a}_{\boldsymbol{k}\lambda}\), \(\sum_{\boldsymbol{k}\lambda}\tilde{a}^\dagger_{\boldsymbol{k}\lambda}\) によって表される光子がドレスト光子です。また、式 (4) は光子と電子・正孔対が入れ替わってほぼ同じ形になっています。即ち、電子・正孔対も光子の衣を纏っていることになります。

グラスファイバー先端のモデル化

グラスファイバー先端のドレスト光子はどのように扱うのかと思っていたら、なんと、単純に原子を1次元格子振動子として計算を進めていました。式 (5) がその1次元格子振動子のハミルトニアンです。

\[ H = \sum_{i=1}^N\frac{\boldsymbol{p}_i^2}{2m_i} + \sum_{i=1}^{N-1}\frac{k}{2}(\boldsymbol{x}_{i+1} - \boldsymbol{x}_i)^2 + \sum_{i=1,N}\frac{k}{2}\boldsymbol{x}_i^2 \tag{5} \]

ここで \(\boldsymbol{x}_i\), \(\boldsymbol{p}_i\), \(m_i\) は \(i\) 番目の原子の(平衡位置からの)変位、運動量、質量、 \(k\) はバネ定数です。

式 (5) にドレスト光子のハミルトニアンやドレスト光子とフォノンとの相互作用などを付加して考察対象となるハミルトニアンが得られるのですが、今回は割愛します。

ところで、私が興味あるのは、 \(A_\mu\) を電磁ポテンシャルとしたとき、式 (6) を導くことです。そのためにはラグランジアン密度を決定する必要が有るのですが、この本からそれを読み解いて行きたいと思っています。

\[ (\Box + m^2)A_\mu = 0 \tag{6} \]

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